皆さんは今乗っているクルマを新車で購入しましたか?
それとも中古車を購入されたのでしょうか。
新車で購入した方はディーラーからオプションパーツとして停止表示板が必要かどうか、聞かれることもあるかと思います。
中古車の場合、販売店などは停止表示板について言及することはまずありません。
そのため停止表示板が最初から積まれているはずだと思い、確認すらしていない方も多いでしょう。
高速道路や自動車専用道路を走る機会がある方なら、故障や事故をしたクルマが発炎筒や停止表示板を置いているのを見たことがあるはずです。
この二つのうち、発炎筒は助手席の足元の見える位置にセットされるため、自分のクルマに積まれているかどうかはすぐに分かるでしょう。
しかし停止表示板は自分のクルマのどこにあるか、ご存知ですか?
見たことはないけれど、車載工具などと一緒に積まれているはずだって思っていませんか?
もし実際に確認しないで、車載工具などと同じように積まれているはずだとお考えの方は、すぐにクルマの中を確認してください。
おそらくどこにも積まれていないはずです。
どうして発炎筒のように停止表示板が積まれていないのか、その理由だけでなく、停止表示板の使用手順などについてご説明しましょう。
発炎筒がないと車検に通らない
みなさんのクルマの助手席足元付近には、必ず発炎筒が設置されているはずです。
この発炎筒は、フタを開けてマッチのように擦ると赤い炎が出るので、昼間でも600m以上先から、夜間の場合には2キロ以上も先から確認できるものです。
つまり、本来あり得ない場所にクルマが止まっていることを周囲に知らせるためのものです。
そしてこの発炎筒は、全てのクルマに設置することが義務付けられています。
この発炎筒は車検の際にもチェックされるので、もちろん積んでいないと車検に通りません。
停止表示板は車検に関係ない
積んでおくことが義務付けられている発炎筒と比較して、停止表示板が積まれていない中古車が販売されているのはどうしてでしょう。
それは停止表示板を積んでいるかどうかは車検に関係なく、積んでいなくても車検には通ってしまうからです。
ではどうして発炎筒と同じ効果がある停止表示板が、車検と関係ないのでしょうか。
それは停止表示板に関する法令に影響されています。
高速などでの緊急停止時には停止表示板を出す義務
停止表示板は、一般道でクルマが故障などで止まってしまった時には出しておく義務はありません。
もちろん出してあった方が安全な時には出しておくべきですが、法令的には出しておく義務はないのです。
一方、高速道路や自動車専用道路でクルマが緊急停止した場合には、必ず停止表示板を出すことが法令で定められています。
そして、これが守られなかった場合には「故障車両表示義務」違反となってしまいます。
違反点数は1点で、もちろん反則金も支払わなければなりません。
反則金は大型車の場合は7,000円、普通車の場合6,000円となっています。
しかし高速道路や自動車専用道路を走る時に車載していなくても違反ではありません。
つまり持っていなくても違反ではないが、万が一の際には出さないと違反になる、これが停止表示板の扱いを分かりにくくしてしまう原因なのです。
どうしてこんな分かりにくい法令になっているかというと、全てのクルマが高速道路や自動車専用道路を走るとは限らず、一般道しか走らないクルマもあるからなのです。
法令に関係なく停止表示板は持っていたい
クルマは常にメンテナンスをしていても、故障してしまうゼロではありません。
またどれほど安全運転を心掛けていても、事故に巻き込まれてしまう可能性もあるでしょう。
高速道路や自動車専用道路を走ることがあるのにもかかわらず、もし停止表示板を車載していないなら、絶対に持っておくべきです。
また前述したように、一般道でも必要な場合には使うことができるのです。
一般道しか走らなくても、停止表示板は持っていた方が安心なのではないでしょうか。
停止表示板はどう使えばいいのか
ではこの停止表示板はどのように使うのが効果的なのでしょうか。
持っているけれども、これまで一度も使ったことがないという人も多いはずの停止表示板の使い方についてご説明しましょう。
停止表示板はクルマの50mより遠くに設置するのが望ましいとされています。
そして、発炎筒はそれよりも遠くに置くようにするとより安全です。
画像引用:警視庁
しかしクルマが止まっているのが高速道路の場合、100キロほどの速度で周囲のクルマは走っているので、設置のためとはいえ普通に路肩を歩いていくことは大変危険です。
そこで以下のように、後方から走ってくるクルマに目立つような手順を経ると安全性が高まります。
1.停止表示板を先に組み立てる
そこで停止表示板をクルマのところで先に開いてしまい、後方から走ってくるクルマから見えるように持ち、まだ着火させていない発炎筒を持って後方に歩いていくのが安全です。
2.停止表示板を前にして未着火の発炎筒も持って移動
発炎筒は文字通り赤い炎を発するので、着火させた状態の発炎筒を手にして歩くのは火傷の危険があります。
そのため停止表示板を後方に見せつつ、停止表示板を置くさらに後方まで歩いていき、発炎筒を設置すべきところに着いてから着火するようにしましょう。
3.停止表示板を後方から見やすくしながら設置位置へ戻る
発炎筒を設置したら停止表示板を持って本来置く位置まで戻りますが、その際も後方から走ってくるクルマからなるべく停止表示板が見やすいようにしながら戻るようにしましょう。
そして自分のクルマの50m以上後方に停止表示板を設置し、ガードレールの外側など、安全な場所から通報するようにしましょう。
発炎筒よりもさらに便利なLED非常信号灯
発炎筒は赤い炎で目立つように作られたものですが、着火させた状態で持ち歩くのは危険です。
また発炎筒の赤い炎が出ている時間はおよそ5分程度だといわれており、あまり長い時間持ちません。
さらに発炎筒には着火などの品質が保証される4年間の消費期限が設けられています。
そこで近年増えてきているのが、LEDを使った非常信号灯です。
保安基準に適合したLED非常信号灯なら車検も問題ないうえ、乾電池で使えるので、乾電池の管理さえしておけばほぼ永久的に使うことができます。
しかも点灯時間も6~7時間と、比べ物になりません。
また上記の停止表示板の設置手順の中の「2.停止表示板を前にして未着火の発炎筒も持って移動」時にも、LED非常信号灯を点灯させながら移動できるので、安全性はより高まるといえるでしょう。
まとめ
高速道路や自動車専用道路での緊急停止時に停止表示板を出すことは法令で定められており、もし従わなければ法令違反で違反点数だけでなく、反則金まで支払わねばならないことなどについてご説明しました。
突然の故障や事故など、トラブルはいつ襲ってくるか分かりません。
高速道路や自動車専用道路を走行することがあるのなら、万が一に備え、停止表示板は必ず積んでおくようにしましょう。