車を早く停止するために必要なこと

フルブレーキング

車を運転していると、一刻も早く車を止めなければならないケースがあります。

横から車が突っ込んできたり、前方に人が飛び出してきたなど、危険回避のために急ブレーキを踏まなくてはならない時です。

危険な場所でスピードを上げて走ることはないから大丈夫と思っていても、車を運転している以上、何があるか分かりません。

少しでも早く車を止められれば、危険を回避することができるかもしれません。

車を一刻も早く停止させるには、何が必要なのでしょうか。

目次

制動距離に影響を及ぼす装備など

制動距離とは、ブレーキを踏んで効き始めてから完全に停止するまでの距離のことですが、制動距離は車の装備などによって大きく影響されます。

装備とは、ブレーキ関連パーツやタイヤ、車全体の重量などです。

ブレーキ関連パーツ

ブレーキ関連パーツは、文字通りブレーキをかけて車をストップさせるためのパーツです。

車に装備されているブレーキ装置は、その車の性能に見合ったものが装備されています。

もっとストッピングパワーが欲しいからと、高性能なスポーツカーなどに装備されている、大きなブレーキローターやブレーキパッドなどに交換すれば、制動距離は短かくできるでしょう。

ただしこの方法は、スポーツ走行やレースなどの場合であり、一般的な方法とは言えません。

タイヤ

タイヤのグリップ力や排水性能は、その車の性能や用途に合ったものが標準装備されているはずです。

タイヤが摩耗してグリップ力や排水能力が低下してしまっているものは危険ですが、そうでない場合には、標準装備のタイヤで十分な能力を発揮してくれるはずです。

もちろんもっとグリップ力に優れ、なおかつ雨天時の濡れた路面で水をうまく排水してくれるタイヤも販売されており、これらを装着すれば制動距離は確実に短くなります。

ただしこれらのタイヤは高価なだけでなく、乗り心地や燃費にも影響してきます。

タイヤの摩耗も早く、スポーツ走行やレースなどの目的に使う以外で制動力を高めるためにこれらのタイヤに交換するのは現実的ではありません。

車の総重量

最近の車は快適装備だけでなく、安全性も考慮しているために、昔の車に比べると多くのパーツが装備されています。

これによって車はどんどん重くなってきています。

一定の速度で動いている重い物を止めるのは、同じ速度で動いている軽いものを止めるよりも慣性があるため難しくなってきます。

つまりブレーキ機構や関連パーツなどの進化を除いて考えれば、昔の軽いクルマの方が止めやすかったはずとも言えるわけです。

重い現代の車の重量を軽くできれば制動距離は短くできますが、快適装備や安全装備を外してまで軽くするのは現実的ではありません。

制動距離を短くするためにできることとは

では現在乗っている車に改造やパーツ交換、タイヤ交換などの特別なことをしなくても、制動距離を短くできる現実的な方法はあるのでしょうか。

それは車の総重量を増やさないようにする事、そして現代のほとんどの車に装備されているABSを有効に使うことです。

車の総重量を増やさない

車の総重量を減らすことはできなくても、極力増やさないようにすることはできるはずです。

例えば、トランクに積みっぱなしになっている不要な荷物などがある場合は、重量増につながります。

また使っていないのに、ルーフボックスなどが装備したままになっているのも重量増につながります。

不要な荷物の総重量が例えば60㎏あったとしたら、ドライバーに加えて、常にもう一人の人間が乗っているのと同じことになります。

定員5人の車に5人乗車し、トランクに60㎏の荷物を積んでいたとしたら、6人乗車しているのと変わらなくなります。

総重量が増えると制動距離が伸びてしまうだけでなく、燃費にも影響してきます。

車のトランクを使わない荷物の置き場にしているようなら、すぐに降ろすようにしましょう。

車の重い荷物

ABSを確実に使う

タイヤはロックする寸前がもっと強くグリップ、つまり強くブレーキングできる状態になりますが、この状態を保ったままブレーキを掛け続けることは不可能です。

またタイヤがロックしてしまうと、かえって制動距離は長くなってしまいます。

ABS(アンチロックブレーキシステムの略)は、ブレーキを踏んでタイヤロックを感知すると、自動的にブレーキを緩めてロックしないようにするシステムのことです。

フルブレーキングする、タイヤがロックする、ABSがロックを解除する、またロックするを繰り返して制動距離を短くしてくれます。

ABSが登場するまでは、教習所でもタイヤをロックさせないようにポンピングブレーキ、つまりブレーキを踏む、少し緩める、踏むを繰り返すように教えていました。

ABSはこの操作を車が勝手にやってくれるわけです。

このABSを確実に使えるかどうかがポイントになります。

フルブレーキングではABSが効くまでブレーキを踏む

ABSの登場でポンピングブレーキは不要になりました。

フルブレーキングが必要な時、ABSは人間がパニック状態でブレーキを踏むよりよほど的確にポンピングを繰り返してくれます。

砂利道や雨の路面の場合は確実ではないですが、乾いた舗装路であれば、パニック状態の人間が操作するよりも確実に制動距離を短くしてくれるので、本来であれば目一杯ブレーキを踏めば良いはずです。

しかし車の運転に慣れていない人や、フルブレーキングの経験がない人は、ブレーキはゆっくりと踏んでいくものだと無意識のうちに身体が覚え込んでいます。

一気に、しかも目一杯ブレーキを踏むということができず、結果的にフルブレーキングが思ったようにできないのです。

それではABSは作動しません。

またABSが介入すると、普段感じたことの無いブルブルとかダダダなどの振動が起き、それで余計にびっくりしてブレーキを緩めてしまう人もいるようです。

これではABSが装備されている意味がありません。

万が一の時には躊躇せず、ブルブルとかダダダとABSが作動するまで思い切りブレーキペダルを踏んでください。

それが制動距離を短くできる一番の方法です。

車のブレーキ

まとめ

車の制動距離を少しでも短くできれば、危険を回避できる可能性は高くなります。

車を重くしないよう積みっぱなしの荷物を下ろし、乾いた路面であればABSが作動するまで目一杯ブレーキを踏む。

これだけで、多少でも制動距離が縮まり、結果的に事故を回避できる可能性が高くなるのです。

実行してみる価値はあるはずです。

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