皆さんはクルマを運転する時、どんな服装で運転されていますか?
クルマを運転している時は周囲から服装が見えないのだから、どんな服装でも構わないと思われるでしょうか。
しかしもし服装によって運転時の疲労、特に長距離をドライブする際の疲労度が変わってくるとすればどうされますか?
実は 運転に不向きな服装というのは確かにあります。
そしてそのような服装で長距離をドライブすれば、非常に疲れてしまうのです。
私自身、過去に長距離を走った時、たった1枚の薄い上着のせいで非常に疲れてしまい、脱いで運転したら楽になったという経験があります。
私自身のこんな経験談も含め、どのような服装が、どうして疲れてしまうのかをご説明しましょう。
正しいドライビングポジションが最も疲れにくい
クルマで長距離を走るということは、長い時間運転をし、その間はシートに座り続けなければならないということです。
この時、どんな座り方をしていれば疲れにくいのでしょうか?
過去の記事「運転の基本、正しいシートポジションとは?どうやって決めるのか」でもご説明したように、正しいシートポジションで座っているのが最も疲れにくく、最も安全に運転できる座り方です。
片手をドアのハンドル部分に置き、身体を半身にした状態でステアリングを保持する、俗にいう「あんちゃん運転」スタイルは楽なように感じるかもしれませんが、実は非常に疲れる座り方の代表です。
またシートに腰を密着させない座り方、つまり浅く座るのも、長時間の運転では非常に疲れやすいのです。
さらにこれらの座り方は緊急時に素早い対応ができないばかりか、万が一の際にシートベルトの効果を半減させてしまうので、絶対に止めるべきです。
正しい運転姿勢に影響を与える服装は疲れやすい
長距離ドライブでは正しいドライビングポジションを取るのが最も疲れにくいのですが、服装によってはドライビングポジションに影響を与えてしまうものもあります。
つまり疲れやすい服装ということです。
これにはどのようなものがあるのでしょうか。
大別すると、以下のように区分できるでしょう。
そもそも正しい姿勢を取れない服装
例えばダウンジャケットや中綿入りのジャケットなど、肉厚の衣類を着ていると、シートに身体を密着させることができません。
せっかくシート位置を正しい位置に設定していたとしても、そのポジションに正しく座ることができないため、長距離を運転すると非常に疲れることになってしまいます。
これは誰でも少し考えれば分かることでしょう。
またこのような衣類は袖の部分も肉厚のため、ハンドル操作もしづらくなってしまいます。
このような衣類を着ている場合は、脱ぎ着が面倒でも必ず脱いで運転するようにしましょう。
正しい姿勢を長時間維持しづらい服装
ダウンジャケットなどの肉厚な衣類以外にも運転に適していないものがあります。
それは、表面がツルツルした化繊の衣類です。
例えばウインドブレーカーや、表地にこれらと似た生地を使い、裏側にフリースを使った暖かいナイロンパンツなどがこれに当てはまります。
これらの衣類は薄い生地のため、シートに座った瞬間は運転姿勢に影響ないように感じるのですが、実際に運転し始めるとシートの表面で滑ってしまったり、身体が衣類の中で動いてしまうため、どうしても正しい姿勢を長時間維持しづらいのです。
こうなると、無意識のうちに滑らないよう身体に力が入ってしまったり、おかしな姿勢のまま運転してしまうことになります。
この状態が運転している間ずっと続く長距離ドライブでは、非常に疲れてしまいます。
私が実際に体験した例「ウインドブレーカー編」
私自身がウインドブレーカーを着たまま長距離を運転してしまった時のことをご紹介しましょう。
数年前の冬のことです。
どうして遠隔地にクルマで出かけなければならない用がありました。
その場所は自宅から距離にして片道およそ500キロあったため、一泊して翌日帰ってくる予定を立てました。
その時の服装は、下はジーンズ、上はフリースを着て、その上からウインドブレーカーを着ていました。
行きは自宅ガレージからの出発ですので、ウインドブレーカーを着ないで車内に置き、フリースだけで運転していました。
長距離ではあったものの、途中で2度ほど休憩しながら運転すると、疲れはそれほどでもありませんでした。
問題は帰りでした。
駐車場が寝泊まりした場所から離れていたので、フリースの上からウインドブレーカーを着てクルマの場所まで行き、その服装のまま運転し始めてしまったのです。
するとどうでしょう。
運転し始めてから1時間ほどすると、肩がパンパンに張り、頭まで痛くなってきました。
おまけにお尻まで痛いのです。
おかしいと思って自分の運転姿勢を見直してみると、腰が前に滑ってシートに密着していません。
そのため猫背になってしまっていたわけです。
特に私が着ていたウインドブレーカーはアウトドア用のもので、ブルゾンなどより少し着丈が長く、お尻が半分ほど隠れるものだったので、腰をシートに密着させようとしても滑ってしまっていたようです。
すぐに最寄りのPAに入り、ウインドブレーカーを脱いだ後に軽く肩を回して休憩した後、運転を再開しましたが今度は快適そのものです。
腰もシートにしっかり密着しており、猫背にもなっていません。
正しい姿勢で運転していると肩のコリも治ってしまい、お尻も痛くなくなりました。
楽に運転して帰ってくることができました。
私が実際に体験した例「ナイロンパンツ編」
もうひとつ、私がやらかしてしまった例を紹介しましょう。
大分以前の冬のことです。
近所に買い物に行く際、自宅でくつろいでいた服装のままクルマを運転してしまいました。
服装は上に綿のパーカー、下は裏側にフリース生地を使った暖かいナイロンパンツです。
向かう先は15分ほど走ったところにあるスーパーだし、人に見られてもおかしくない服装だったので、この格好でもいいかなって考えてしまったわけです。
しかし運転し始めてすぐ後悔しました。
お尻が滑ってしまい、身体が前後左右に動いてしまうのです。
下り坂に差し掛かると身体は前に動いてしまうし、交差点を曲がろうとすると左右にズレてしまいます。
わずか15分ほどの運転がすごく怖くて、フットレストでずっとズレないように支えていましたが、これがもし長距離の運転だったとしたら大変だっただろうと思います。
もう二度とナイロンパンツのまま運転することはやめようと思いました。
上記以外の直接的疲労に影響する服装
ドライビングポジションに影響を与えるのではないものの、着ていること自体が疲労につながってしまう服装もあります。
例えば極端なスリムフィットのジーンズ類はどうしても身体を締め付けるので、長時間同じ姿勢を続ける長距離ドライブでは疲れやすくなってしまいます。
またスーツのジャケットなどを着たまま長距離を運転するのも、腕が動かしにくいため、疲れが倍増してしまいます。
着ていることが楽な服装が、長距離ドライブの疲労を少しでも軽くしてくれるのです。
まとめ
運転時の服装が長距離ドライブになるほど疲労度に影響することを、私の経験も含めてご説明しました。
この中でも特に注意しなくてはならないのが冬の衣類です。
冬の衣類は表地に防風効果のある化繊が用いられていることが多く、そのような衣類を着たままクルマのシートに座ると滑りやすい場合があります。
薄い生地だからシートポジションに影響しないと考えていると、疲れてしまい、後で後悔することにもなりかねません。
また疲労した状態は注意力も散漫になるので非常に危険です。
運転の際、特に長距離を走る際には服装選びにもひと工夫し、安全で快適なドライブをなさってください。