街中をクルマで走っていると、老若男女を問わず非常に幅広い層の人が運転していることが分かります。
警視庁交通局運転免許課が発表しているデータをみると、免許保持者の男女比は昭和44年で男性83%女性17%だったのが、平成元年には63%と37%、令和2年には54.4%と45.6%となっており、日常的にクルマを運転している女性ドライバーが増えてきていることが想像できます。
しかし運転に欠かせないはずのドライビングに向いたサングラスについては、市販されているのはそのほとんどが男性用です。
女性ドライバーであっても、強い陽射しや反射光が眩しい場面は多くあるはずです。
そこで女性ドライバーに向けたドライビングサングラスの選び方や、種類は少ないものの、女性におすすめできるドライビングサングラスについてご説明しようと思います。
女性には特にドライビングサングラスが必要
冒頭で説明したように、ドライバーが女性であっても運転時に眩しい時はあるはずですが、現在は運転に向いた女性用サングラスはほとんど市場に出回っていません。
その影響か、女性ドライバーが運転の際にサングラスをかけている場面をあまり見かけたことはありません。
しかし男性よりも、女性ドライバーの方がドライビングサングラスは必要なはずです。
それは強い陽射しや反射光による眩しさからくる前方視界の見づらさを解消する、つまり安全性を確保するだけでなく、紫外線による日焼け防止のためにも必須だからです。
目から入ってくる紫外線で日焼け
日焼けは、肌に紫外線を浴びるのが原因とのイメージが強いですが、実は日焼けの原因はそれだけではありません。
目に紫外線が入り込んでくるだけで、肌にメラニン色素が多く分泌されてしまい、肌が黒くなってしまいます。
つまり日焼け対策は肌に紫外線が当たらないようにするだけでなく、目に紫外線が入らないようにすることも重要なのです。
国産車のフロントガラスはUVカットされているが…
現在の国産車のガラスは、今から30年ほど前にフロントガラスに関しては合わせガラス(フィルムを2枚のガラスで挟んだもの)を採用することが義務付けられています。
このフィルムにUVカット機能が備えられているので、フロントガラス側からの紫外線はほとんどカットされています。
ただしこれはあくまでもフロントガラスだけのことで、サイドガラスやリアガラスなどにはUVカット機能が備わっていないものを使っているクルマも多く見受けられます。
たとえ前方のフロントガラスから紫外線が目に飛び込んでこなくても、サイドガラスなどから紫外線が入ってきてしまいます。
これはすなわち、クルマを運転しているだけでも目に紫外線が飛び込んできて、日焼けする可能性があるということです。
日焼けしたくない女性にとって、運転時でもサングラスは不可欠なものなのです。
どんなサングラスが運転用として良いのか
そもそも運転に適したサングラスとはどのようなものなのかという点については、以前の記事「ドライビング用サングラスの正しい選び方」で詳しく説明していますので、ここではその記事内で説明したポイントを列記しておきます。
- 紫外線をカットしてくれるもの
- 偏光レンズを装着したもの
- レンズの可視光線透過率がおよそ20%~30%のもの
- レンズに歪みのないもの
- なるべく軽いもの
このポイントについて少し補足しましょう。
可視光線透過率の20%~30%というのは、一般的なサングラスとしては色が薄めのものになりますが、これには2つの意味があります。
まず1つは、クルマを運転していてトンネルなどに入ってしまうと、一瞬で暗くなってしまうということです。
濃い色のサングラスをかけてトンネルに入ると、周囲が見えづらく、非常に危険なので、あまり濃い色のサングラスは運転に不向きだということが挙げられます。
もう1つには、偏光レンズを装着したサングラスなら、この色の薄さでも眩しくないということです。
運転時の眩しさはそのほとんどが反射光と呼ばれる、対向車のフロントガラスやビルのガラス、路面などで陽射しが反射したものです。
偏光レンズはこれらの反射光を効果的に遮ってくれるため、レンズの色が薄い、つまり可視光線透過率が20%~30%であっても眩しく感じることはありません。
偏光レンズではない、普通のサングラスレンズで反射光を眩しくないようにするには、現在女性用として一般的に販売されている10%台の色の濃いレンズが必要になりますが、それでは運転に不向きになってしまうのです。
女性が使うことを考慮すると軽さは重要
上記のポイントの中にある「なるべく軽いもの」というのは、運転時に重さを感じるサングラスをかけていると、顔を向けるなどの動作がしづらくなってしまうためですが、女性が着用することを考えると、軽さの重要度はさらに高まります。
それは、メガネやサングラスを掛けた時にできる鼻パッドの跡です。
サングラスを含め一般的なメガネは、耳と鼻で支えるようになっており、中でも鼻パッドにはメガネやサングラスの重量のほとんどがかかってしまうため、長時間着用していると鼻の部分に跡が付いてしまいます。
サングラスを外した時、鼻に跡が残ってしまうのはメガネやサングラスの構造上、避けられないのかもしれませんが、少しでも軽いサングラスの方が跡は薄く、しかも短時間で消えてくれます。
おすすめできる女性用ドライビングサングラス
現在、市販されている女性用サングラスで、運転時に向いたものはそれほど多くありません。
特に女性用サングラスはデザインが優先されているためか、レンズの可視光線透過率や偏光度が表示されていないものも多く見受けられました。
これでは条件が合致するかどうかの判断ができません。
レンズスペックがしっかりと表示されており、運転に向いたものはユニセックスモデルになりますが、カジュアルファッションや日常使いにはマッチするはずです。
SWANS(スワンズ) DF-Pathway
日本のスポーツサングラスメーカーの中でも知名度が高く、使用者も非常に多い山本光学が発売しているブランド「SWANS」の偏光サングラスです。
紹介するDF-Pathwayはレディスモデルとは謳われていませんが、レンズサイズがやや小ぶりなため、女性がかけても違和感のないモデルです。
レンズが顔に沿って曲がったデザインになっていますが、オーソドックスなデザインのためにいかつい雰囲気にはなりません。
さらに特筆すべきはその重さで、わずか20gしかありません。
また全モデルがUVカット99.9%となっています。
レンズカラーは何種類も用意されていますが、中には偏光レンズではないものもあります。
全モデルのうち、偏光レンズを採用し、運転に適した可視光線透過率を備えているのは以下のレンズカラーのモデルです。
- 偏光スモークレンズ×レッドシャドーミラー(可視光線透過率25%、偏光度97%以上)
- 偏光フォクシーブラウン(可視光線透過率30%、偏光度98%以上)
- 偏光スモーク(可視光線透過率27%、偏光度97%以上)
- 偏光ULTRAローズスモーク(可視光線透過率22%、偏光度97%以上)
- 偏光アイスブルー(可視光線透過率29%、偏光度90%以上)
- 偏光ULTRAライトグリーン(可視光線透過率26%、偏光度90%以上)
Zeque(ゼクー) Jaz(ジャズ)
偏光サングラスを使う必要のある、釣り人やゴルファーなどから圧倒的な支持を受けている偏光レンズメーカーTALEX(タレックス)の偏光レンズを装着したサングラスを発売しているのがZequeです。
ZequeのユニセックスモデルJazは、フレームにカーボンとチタンを用いているため、非常に軽く仕上がっただけでなく、オーソドックスなデザインとカーボンやチタンの質感によって、高級感を感じさせるものになっています。
Jazは全モデルにTALEX製偏光レンズが装着されていますが、運転に最適な可視光線透過率のレンズは、以下のレンズ装着モデルとなります。
- マスターブルー(可視光線透過率30%、偏光度99%以上)
- トゥルービュースポーツ/シルバーミラー(可視光線透過率30%、偏光度99%以上)
- トゥルービュースポーツ(可視光線透過率30%、偏光度99%以上)
- トゥルービュー(可視光線透過率30%、偏光度99%以上)
Zeque(ゼクー) Juno(ジュノ)
上で紹介したZequeのモデル違いで、セルフレームを採用したボストン型のユニセックスモデルです。
セルフレームを採用したことで、フレームカラーに変化が付けられ、オシャレ度もアップしています。
なおフレームカラーは各レンズ色にマッチする色遣いになっており、ファッション感度の高い人でも気に入るモデルがあるはずです。
運転にマッチしたモデルは、以下の偏光レンズを装着したモデルで、可視光線透過率や偏光度はJuzと同様です。
- トゥルービュー
- マスターブルー
- トゥルービュースポーツ
- トゥルービュースポーツ×ブルーミラー
- トゥルービュースポーツ×シルバーミラー
まとめ
女性ドライバーの日焼け防止と、安全運転にもつながるドライビングサングラス選びについてご説明しました。
女性向けサングラス市場はまだまだ未成熟なようで、フレームデザインは女性らしさにあふれていても、レンズが運転に向いたものになっていないものがほとんどです。
しかし日焼けだけでなく、反射光が眩しいので何とかしたいとお考えなら、紹介したサングラスの選び方などは参考にしていただけるのではないでしょうか。