クルマを運転する時のまぶしさ対策としては、通常のサングラスをかけるより、偏光サングラスをかける方がはるかに効果的です。
このことは過去の記事「ドライビング用サングラスの正しい選び方」内で、詳しくご説明していますので、参考にしていただければと思います。
偏光サングラスは、太陽光が対向車のフロントガラスやビルなどのガラス面、路面などで反射した、「反射光」と呼ばれるまぶしい光を効果的にカットしてくれます。
そのため運転が非常にしやすくなります。
ただ偏光サングラスを運転時に着用するデメリットとして、ナビ画面が見えなくなることやガラスに模様が浮き出ることが指摘されていることも多いようです。
確かにこれらの現象は起こる場合がありますが、私自身は長い間、運転時に偏光サングラスをかけていますが、偏光サングラスをかけていてこれらのことで困ったことは一度もありません。
ナビ画面はどのようなときに見えなくなるのでしょうか。
またガラスにはどんな模様が浮き出ててくるのでしょうか。
さらに、どうしてこのようなことが起こってしまうのでしょう。
そして、これらのことは運転時に偏光サングラスを使うデメリットになるのでしょうか。
偏光レンズの仕組み
偏光レンズの仕組みを簡単に説明しましょう。
偏光レンズは2枚のレンズの間に偏光膜を挟み込むことで、反射光と呼ばれる光をカットしてくれる機能が発揮できています。
偏光膜は、いわば窓に取り付けてあるブラインドと同じような仕組みと考えれば分かりやすいでしょう。
ブラインドはまぶしい光を遮りつつも、視界を確保することができます。
偏光膜にも同様の機能が備わっているわけです。
そのため、路面が光って白くみえたり、対向車のフロントガラスが太陽光を反射してまぶしい、ビルの窓ガラスに太陽光が反射してまぶしいなどの現象を抑えてくれます。
ナビ画面が見えなくなる現象
クルマのナビ画面には偏光板を使用した液晶表示画面が使用されています。
この液晶表示画面を偏光サングラスでみることにより、液晶の偏光板と偏光サングラスの偏光膜とが作用しあって、ナビ画面が暗くみえてしまったり、歪んで見えることがあります。
偏光板を使った液晶画面にはクルマのナビ画面の他にもスマホやPCのディスプレー、デジタル表示の腕時計などがありますが、これらを偏光サングラスをかけてみると同じような現象が起こることがあります。
実際に運転時に使っている偏光サングラスで試してみました。
撮影方法としては、カーナビの前に偏光サングラスを水平にかざし、その位置からゆっくりと傾けていきます。
そしてレンズを通してみえるカーナビディスプレーがみえなくなる瞬間を撮影しました。
画像の偏光サングラスは偏光度が98%以上、可視光線透過率は30%のものです。
一般的なサングラスと比較すると、かなり色濃度が薄いレンズですが、それでもディスプレーが真っ暗でみえません。
上の画像を撮影したときは、直射日光が当たっていたことに加え、運転席から撮影したために偏光サングラスをかなり傾けたようにみえてしまっていますが、実際は45度ぐらいの傾きで真っ暗になりました。
カーナビディスプレーと同じように偏光板の液晶表示を使っている、PCディスプレーでも同様の方法を試してみました。
PCディスプレーでは、水平の位置からここまで右に傾けた時に真っ暗になってしまいます。
角度的にはおよそ40度程度でしょうか。
ちなみに、ディスプレーがみえなくなるのは右に40度傾けた場合のみで、左に40度傾けても視界は良好でした。
運転時に頭をこれほど傾けない
運転時に偏光サングラスをかけていたとしても、運転しながらこれほど頭を傾けてカーナビを覗き込むことはまずないでしょう。
カーナビはほとんどがセンターコンソール付近に設置されており、仮に右ハンドルのクルマでカーナビを覗き込むとしても、頭は左に傾くはずです。
また左ハンドルのクルマの場合でも、ここまで頭を傾けないとみえないカーナビはそもそも存在しないでしょうし、仮にそのようなものがあったとしても、それはカーナビの設置場所に問題があるということです。
つまり偏光サングラスを運転中にかけていても、カーナビは問題なく確認できるということになります。
ガラスに模様が浮き出る現象
偏光サングラスをかけてクルマを運転していると、ガラスに模様が浮き出てくることがあるといわれています。
私のクルマで、カーナビ検証で使ったのと同じ偏光サングラスをかけてみると、フロントガラスに模様が浮き出ることはありませんでしたが、リアガラスには下の画像のような模様が浮き出ていました。
模様は浮き出るが視界が妨げられるほどではない
上の画像でも分かるように、偏光サングラスをかけているとリアガラスに格子状の模様が浮き出ることが分かります。
しかしこの模様は視界を妨げるほどのものでもありませんし、模様が浮き出ることがあらかじめ分かっていれば、驚くほどのものでもないでしょう。
つまり偏光サングラスは、運転するのに支障ないということです。
どうしてリアガラスだけに模様が浮き出るのか
私のクルマの場合、フロントガラスに模様が浮き出ることはなく、リアガラスだけに浮き出てきました。
どうしてリアガラスのみに模様が浮き出たのでしょうか。
実は熱強化ガラスを使用している場合に限ってこのような模様が浮き出てくるのです。
しかし近年製造されたクルマの場合はフロントガラスに熱強化ガラスは使われていません。
これは1987年9月以降に作られたクルマの場合には、合わせガラスと呼ばれるガラスの間にフィルムを挟み込んだものを使うよう、保安基準によって義務付けられたからです。
つまりそれ以前に製造されたクルマのみフロントガラスに熱強化ガラスが使われているケースがあり、最近製造されたクルマではフロントガラスに模様が浮き出ることはないのです。
なお、現在のクルマでもリアガラスやサイドウィンドウには熱強化ガラスが使われているケースがあり、私のクルマの場合はリアガラスに熱強化ガラスが使われていたため、偏光サングラスをかけて後方をみると模様が浮き出ていたわけです。
熱強化ガラスに模様が浮き出る理由
熱強化ガラスとは、少しでも強度を高めるために製造工程でガラスの表面に加熱や急冷をおこなっているガラスのことです。
この工程を経ることでたわむことに強くなり、割れにくくなるのですが、仮に割れたとしても割れた部分が尖ってしまうのではなく、粒状の破片になります。
つまり万が一の事故でガラスが割れたとしても、ドライバーがガラスの破片でケガをしないようになっているわけです。
ただこのガラスの製造工程によって、どうしてもガラスに強い個所と弱い個所が生じてしまいます。
この違いがガラスを通した風景、すなわち光に影響してしまい、偏光サングラスを通してみると模様が浮き出てしまいます。
偏光サングラスは運転時の強い味方
偏光サングラスをかけて運転する時の注意点として指摘されていることが多い、カーナビがみえなくなってしまうこと、さらにリアガラスに模様が浮き出てしまうことについてご説明しました。
確かにこのような現象はおきますが、運転に支障がでたり、危険な状態になるとはとても言えません。
このような現象が起きることだけ知っていれば全く問題ないでしょう。
それどころか、偏光サングラスはまぶしい反射光を効果的に防いでドライバーの視界を確保してくれます。
まぶしい反射光を通常のサングラスで防ごうとすると、かなり色の濃いレンズのサングラスをかけなければなりませんが、それではトンネルなどに入った途端、周囲の様子がみえなくなり非常に危険です。
偏光サングラスならレンズの色を薄く、つまり可視光線透過率が20%~30%のもので十分反射光を防ぐことができ、ドライバーの強い味方になってくれます。
今後ドライビング用サングラスの購入を検討されるのであれば、偏光サングラスを購入してみてください。
その快適さにきっと驚かれるはずです。
おススメのドライビング用偏光サングラス
運転に適したおススメの偏光サングラスをいくつかご紹介しておきましょう。
スワンズ ER1-0170 DMBR
日本のスポーツサングラスメーカーである山本光学製、スワンズブランドの偏光サングラスです。
独特のレンズカラーには赤や黄色などの蛍光色を浮き立たせ、白いセンターラインなども視認性が高まる効果があります。
レンズはポリカーボネイト製で、万が一の事故の際にも割れて目を傷つける心配はありません。
Zeque(ゼクー) STELTH ステルス
日本の偏光レンズ専門メーカーであるTALEX社の偏光レンズを採用し、偏光サングラスにこだわりが強い釣り人から絶大な信頼を得ているZequeの偏光サングラスです。
非常に高品質でオシャレな偏光サングラスです。
フロントフレームだけでなくテンプルの造形も、他では見られない素晴らしさで、オシャレにうるさい人も満足できる偏光サングラスといえます。
Zeque(ゼクー) Dorio ドリオ
上で紹介したのと同じZequeの偏光サングラスですが、こちらのモデルのフレームは比較的オーソドックスではあるものの、TALEXの偏光レンズにシルバーミラー加工を施してあります。
そのため、非常にクールな印象を与えるモデルとなっています。