炎天下、特に真夏の良く晴れた昼間に屋外でクルマを駐車していると、ボディは熱を持ち、室内も高温になってしまいます。
ドアを開けた瞬間にモアッという熱気がすごい、なんて事はドライバーなら誰でも経験しているはずですが、実はクルマのボディや車内を高温にすることには、時として有意義なケースもあるのです。
特に陽の当らないマンションの地下やタワー式などの屋内駐車場、屋根付き駐車場などに停めている場合は、その恩恵に預かりにくいことがあります。
その恩恵とは、春頃から夏前までの間、ボディに降り注ぐ花粉による塗装面のシミ対策。
そして車内のダニ対策です。
どうして炎天下の屋外駐車が花粉のシミやダニ対策になるのか、詳しくご説明しましょう。
屋内駐車のクルマにも花粉のシミ対策は必要
屋内の駐車場にクルマを駐車していたとしても、クルマは屋外を走るものです。
外を走っていると花粉が降りかかってくるでしょうし、雨も降ってくることもあるはずです。
どうしてもボディは汚れてきます。
屋内に駐車している間は汚れることはないかもしれませんが、街中を走っていたり、どこかに駐車している間に汚れてしまうわけです。
かといって、出かけて戻ってくる度に洗車できるわけもありません。
結局、ボディの汚れ度合いは屋外駐車と比較すると少ないとはいえ、汚れてしまうことには変わりないわけです。
ボディの汚れでは花粉が厄介
クルマのボディ汚れにも色々なものがありますが、どれほど気を付けていても防ぐことができないのが黄砂と花粉による汚れです。
黄砂は結局のところ、洗車するしか取り除く方法はありませんが、厄介なのが花粉です。
花粉はそのままの状態なら少しベタ付く程度ですが、花粉が付着した状態で雨が降ってしまうと、花粉の殻が割れ、タンパク質であるペクチンと呼ばれる物質が溶出してきます。
このペクチンがボディに張り付いたまま乾燥、つまり雨が上がって 乾いてくると、ボディの塗装面と一緒に収縮するといわれています。
これがボディのシミになってしまうのです。
実際には難しい花粉のシミを取り除く方法
この花粉シミを取り除くのは非常に厄介で、花粉の付着、降雨、乾燥をくり返すほどシミが増えていくことになるので、花粉が付着した羅すぐに洗車するのが最も効果的です。
しかし春の時期、花粉が付着した度に洗車することは難しいでしょう。
晴れた日に外出する度、洗車しなくてはならないわけですから、現実問題として無理があります。
さらにシミになってしまった時の対処法として、お湯を掛けたり、ヒートガンやドライヤーで熱するなどの方法があります。
これはペクチンと共に収縮してしまった塗装面を、高温で元に戻すというものです。
この方法、理論的には間違っていないでしょうが、ガソリンスタンドやコイン洗車場などしかクルマを手入れする場所が無い人(現在の私もこのパターンです)にとって、これらの場所までどうやってお湯を持っていくのでしょう。
またどうやってヒートガンやドライヤーを使うのでしょう。
実際には不可能に近い方法だといえます。
炎天下の駐車が花粉のシミに有効
お湯やヒートガン、ドライヤーが花粉のシミに有効だと分かっていても、現実的にこのような対策を取ることが不可能な方におすすめしたいのが、炎天下の屋外に駐車しておくという方法です。
もちろん、花粉の時期は極力洗車の回数を増やして花粉を取り除く努力は必要です。
しかしそれでもシミになってしまったら、炎天下に屋外駐車を半日でもすれば、塗装面の収縮を元通りにすることができます。
それは強烈な日差しがクルマの塗装面を熱してくれ、お湯やヒートガンと同じような効果が得られるからです。
特に、最近流行の黒い塗装色のクルマは花粉シミが目立ちやすいですが、一方で高温になりやすいため、効果は絶大です。
これなら手入れをする場所が無い人でもできるでしょう。
そしてクルマをまた屋内駐車場に停める前に、ボディが十分冷えた状態にしてから洗車し、キレイになってから屋内駐車場に停めれば良いのです。
屋内駐車の車内温度はダニが繁殖しやすい
屋内駐車のクルマはどれほど暑い炎天下でも、車内の温度が上がりにくく、これが屋内駐車のメリットのひとつでもあります。
要するに真夏であっても、ドアを開けてモワア~という熱気にタジタジとなってしまうことがほとんどないのです。
しかしこの快適さがデメリットにつながるケースもあります。
それが車内に発生するダニ問題です。
クルマの車内のダニは、車内で食料の食べこぼしをしなければ発生しないと思われているかもしれませんが、そんなことはありません。
人間がいるだけで自然に発生してしまう抜け落ちた髪やフケなどもダニの食料になってしまうだけでなく、クルマの車内はダニに快適な空間なのです。
車内の床には全面にカーペットが敷かれ、しかも隠れ場所も豊富です。
また雨の日には濡れた靴、傘、衣類が湿気を運んできてくれ、適度な湿度もあるのですから、ダニにとってこれほど住みやすい環境はないわけです。
ダニが発生するとどうなるのか
車内にダニが発生すると、衣類に隠れた二の腕や腹部、股の部分などを噛まれてしまい、腫れたりかゆみが出てきたりします。
この状態が10日前後続いてしまうのです。
また噛まれるという直接的な被害だけでは済みません。
ダニのフンや死骸が車内に舞ってしまい、それを吸い込むとアレルギーや喘息にもなりかねないので注意が必要です。
ダニが死滅してしまう条件と駐車環境
車内に発生するダニは、高温によって死滅してしまいます。
例えば温度が50度の時、2、30分あればほとんどのダニが死滅します。
温度が60度以上あればもっと早く死滅するのです。
炎天下、直射日光があたる屋外にクルマを駐車していると、車内温度は軽く50度を超えてしまいます。
もしそのクルマが黒いボディなら、かなり車内温度は上がるでしょう。
直射日光のあたる屋外駐車だけでダニを死滅させることができるのです。
しかし直射日光のあたらない屋内駐車の場合、車内温度はここまで上がることはありません。
つまり屋内に駐車していると、ダニが死滅せず、繁殖し放題ということになります。
ダニ対策後は掃除機を使って死骸を除去
クルマに発生する可能性のあるダニ対策として、炎天下に屋外駐車し、車内温度を上げることが、ダニを死滅させるのに有効な手段であることが分かるでしょう。
理想的には半日程度、屋外に駐車しておき、その後ダニの死骸を取り除くために掃除機をかけておけば、死骸が車内に舞うこともありません。
アレルギーや喘息の心配もなくなるのです。
屋内駐車のクルマでも時には炎天下の駐車が必須
クルマの屋内駐車はクルマが汚れることも少なく、理想的だと思いがちですが、実際には花粉によるシミからクルマを完全に守ることはできません。
またダニの発生に関しては、屋内駐車の方が危険であることもお分かりいただけたでしょう。
このようなケースでは、時に炎天下の屋外駐車が有効な手段となります。
炎天下の駐車後、クルマに乗り込む際には、全ての窓を全開(可能であればドアも開けます)にし、エアコンを最も冷える状態にしておけば、すぐに車内温度を下げることもできます。
炎天下の屋外駐車、是非試してみてください。