車のメンテナンスでよく話題になるのがエンジンオイルの選び方と交換のタイミングです。
これに関しては色々な説があり、きっとどうすればいいのか迷われるでしょう。
それは車の使い方にも大きく影響されます。
普段近所に買い物に行くとか、家族でちょっとドライブに出かけるのがメインの車と、日常的に高速道路や山道をブンブン飛ばしている車を一緒に考えられる訳はないでしょう。
スピードレンジが違えば、常用エンジン回転数も違います。
もちろん走行距離も違ってきます。
また近所に買い物に行くのがメインであれば、ほとんどエンジンが暖まらないうちにエンジンを切ることも多いはずです。
色々な使われ方をする車のエンジンオイル選びの基準や交換のタイミングについて説明します。
オイル交換はスタンドやディーラー任せにしない
車に興味がない人は、ガソリンスタンドやカーディーラーでそろそろオイル交換の時期ですと言われて、そっかぁと交換してもらうケースが多いでしょう。
そんな方に質問です。
- 前回オイル交換したのがいつで、交換してからどのぐらい走行したかご存知ですか。
- そしてどんなオイルに交換されたか知っていますか。
ガソリンスタンドはセルフが増え、オイル交換を勧められることもほとんどありません。
またカーディーラーは点検や修理などで訪問しない限り、オイル交換時期の連絡をしてくることはないでしょう。
つまりオイル交換をカーディーラーやガソリンスタンド任せにしていると、言われる機会が無い限り、ずっとそのままってことになりかねません。
楽しい時間を作ってくれる愛車なのですから、エンジンオイルについて少しは関心を持ってあげてください。
そして人に言われてオイル交換をするのではなく、自分の意志でどのオイルをいつ交換するか、決めてあげてください。
エンジンオイルのことを知ろう
カー用品店に行くと色んな種類のエンジンオイルが並んでいます。
メーカも色々で、意味不明の数字や記号が並んでいますし、比較的安価なものから高価なものまで本当に色々あります。
きっとどれを選べば良いのか、全く分からないと思います。
まずエンジンオイルのことについて理解しましょう。
エンジンオイルの目的って何?
そもそもエンジンオイルは何のために必要なのでしょうか。
エンジンオイルの役目をまとめてみました。
摩擦を防ぎ潤滑させる
エンジンは金属でできています。
エンジンが動けば内部の機械同士で摩擦が生じるので、それを防ぐ潤滑油になっています。
燃焼室を密閉する
エンジンは噴射したガソリンを燃焼室で爆発させることによってピストンを動かしています。
その際、燃焼室に隙間があれば爆発のエネルギーがロスするだけでなく、正常に爆発しないこともあります。
燃焼室の機械の隙間を埋め、密閉するためにオイルが用いられています。
エンジンを冷却させる
エンジンを回転させると金属部分は非常に高温になってしまいます。
回転数が高ければ高いほど温度も上がっていきます。
高温になった金属部分にオイルを循環させておけば冷却効果があり、エンジンそのものの温度を下げることができ、エンジンンのパフォーマンスを維持できます。
燃焼によって生じた汚れの洗浄
ガソリンの燃焼や機械同士の摩擦によって、エンジン内部にはどうしてもスラッジと呼ばれる汚れが発生してしまいます。
この汚れはエンジン性能を低下させ、寿命を短くする原因にもなってしまいます。
エンジンオイルはこの汚れを引っ付け、エンジンの一部に溜まらないよう分散させる働きがあります。
水分による錆を防ぐ
エンジンが高温になると気温との温度差で水分が発生しやすくなります。
この水分はエンジンに錆を発生させやすく、それを防ぐためにエンジンオイルが用いられています。
エンジンオイルにはこれだけの目的があります。
決しておろそかにできない大きな役目であることが分かると思います。
エンジンオイルの種類にはどんなものがあるの
エンジンオイルには2ストロークエンジン用、ディーゼルエンジン用、ガソリンエンジン用がありますが、ここではガソリンエンジン用のエンジンオイルについて説明します。
ガソリンエンジン用とディーゼルエンジン用は併用できるものが多く、製法によって三種類に区分できます。
鉱物油
原油を精製して作られたオイルです。
最も普及しており、コストも安いですが、分子量が揃っておらず、オイルに必要な性能は低くなりがちです。
部分合成油
鉱物油の欠点を補うため、化学合成油などを加えたものです。
鉱物油に比べて性能は高くなりましたが、耐熱性能などでは化学合成油には劣ります。
化学合成油
鉱物油を化学分解し、洗浄成分などを化学的に合成した現在最も良質とされるエンジンオイルです。
コストは高くなりますが、その安定性から高性能エンジンなどに使用されています。
エンジンオイルに付いている数字やアルファベットは何?
エンジンオイルには色々な数字やアルファベットが書かれていますが、これはエンジンオイルの粘度や規格を示しています。
粘度
エンジンオイルと言えども基本的に油なので、温度が低くなると固くなり、温度が高くなると柔らかくなります。
また温度が高くなりすぎた場合は柔らかくなり過ぎ、粘度が保てなくなってしまう性質を持っています。
これらの性質を数字と記号で表しています。
写真の赤丸の中に数字とアルファベットが記載されていますが、これが粘度を示しています。
5W-30
この表記のうち、WはWinterつまり冬を表しています。
5Wとは冬の寒い時期でも粘度を保てる度合いを示したものです。
0W、5W、10W、15Wなどの種類があり、数字が小さいほど寒くてもサラサラであることを示しています。
また30という数字は、どの程度の高温まで粘度を保てるかを示しています。
数字が大きいほど高温になっても粘度があるということになります。
20、30、40、50、60などの種類がありますが、一般的には20~40程度までで、それ以上の数字のものはスポーツ走行時などに使われるものです。
規格
エンジンオイルの規格には二種類の表記があります。
API規格
ひとつはAPI規格と呼ばれる、オイルの品質を示す規格です。
SHやSJ、SL、SM、SNなどの表記があります。
「S」はガソリンエンジンのことを示していますので、SHやSLなどはガソリンエンジン用の規格であることが分かります。
SH規格が表示されている場合の「H」はオイルの品質やグレードを示しています。
アルファベットが後ろに行くほど高品質なオイルになります。
つまりSHよりもSNの方が高品質と言うことになります。
ILSAC規格
もう一つの規格がILSAC規格で、この規格は省燃費性を示します。
API規格のSHグレード以上のオイルに適応し、以下の基準となっています。
- SHならGF-1規格
- SJならGF-2規格
- SLならGF-3規格
- SMならGF-4規格
- SNならGF-5規格
エンジンオイルを交換する意味は?
エンジンオイルは使用している間にススやスラッジ、水分、エンジンの燃焼室から漏れるブローバイガスなどが入り込んでくるため、どんどん汚れて劣化していきます。
またオイルには適温があり、適温以上の高温や低温でも劣化していきます。
スポーツ走行をすれば油温は高くなってしまいますし、近所までの買い物で使う場合は油温が低すぎる状態になります。
これ以外にもオイルは食用油などと同様に、空気に触れるだけで酸化していきます。
いかにエンジンオイルが過酷な状況下にあるかが分かるでしょう。
劣化したオイルでは、上記の「エンジンオイルの目的って何?」の項で記述した内容ができなくなってしまいます。
そのためエンジンオイルは交換しなければならないのです。
交換するエンジンオイルを選ぶ目安
エンジンオイルが車にとっていかに重要な働きをしているかがお分かりいただけたかと思います。
ではエンジンオイルはどんなものを選べば良いのでしょう。
車のエンジンオイルは、あくまでも取扱説明書に記載されている粘度や規格を基本と考えるべきです。
そこから大きく外れたエンジンオイルを入れてしまうとエンジンの破損につながりかねません。
この基本をベースにして、車の使用状況に合わせて高温域をやや広げる選択は有効ですが、私自身の考えでは、より低い温度での粘度を求めるのにあまり意味を感じません。
一般車の場合、ハイブリッドカーなどを除くと、多くが5W程度のオイルを基本としているため、0Wを選択すると高温時の粘度がどうしても犠牲になります。
昔と比べると、エンジンは小排気量でありながらも高出力になり、小排気量ターボなども増えています。
これらはどうしてもエンジンが高温化する傾向にあるため、高温時の粘度を見直す方が現実的です。
例えば5W-30のエンジンオイルを、夏場だけ5W-40にするなどの方法は有効でしょう。
エンジンオイル交換のタイミングとは
昔からよく言われたオイルのゲージで汚れをチェックする方法は、非常に分かりにくく、慣れている人でも判断を誤る場合があります。
これは交換した直後であってもオイルが黒く汚れていることがあるためです。
オイルがエンジン内部のススやスラッジなどを引っ付け、分散させているから起こっているのですが、それが余計に判断しづらくしています。
要するに、ゲージでチェックする方法はあまりあてにならないのです。
ただはっきりしていることは、エンジンを高回転で回すことが多かったり、近所に買い物に行くぐらいにしか使わないなどの場合はオイルの劣化が早く起こってしまうことです。
そのような使い方をする場合には、一般的によく言われる、半年毎もしくは5,000キロでの交換を守るべきでしょう。
これら以外の一般的な走行の場合は無理に半年毎もしくは5,000キロでの交換を厳守する必要はないかと思いますが、それでもある程度の目安にしておくべきでしょう。
また、車の取扱い説明書に書かれた粘度や規格のオイルでも価格の上下はあります。
高価なオイルだからと長く使うのであれば、安いオイルでも定期的に交換する方が、エンジンにとってははるかに良いことも覚えておいてください。
まとめ
エンジンオイルは車の血液にあたる大切な働きをしています。
オイルを交換してやると、古いオイルと比べて粘度が上がるためか、走行距離の多い車でもエンジンの吹き上がりが良くなったり、パワーが戻った感じを受けます。
エンジンオイルはそれほどの意味を持っているのです。
オイル交換のタイミングやオイルの種類を人任せにするのではなく、自分で管理してあげれば自ずと車への関心と愛情も高まっていくはずです。
是非チャレンジしてみてください。