冬が近づいてくると、クルマのタイヤをスタッドレスに交換している方も多いでしょう。
しかし2018年、国土交通省によってタイヤチェーンについての規制が改定され、チェーン規制が発令されると、たとえスタッドレスタイヤを履いていてもタイヤチェーンを装着していないと通れなくなりました。
しかし欧州車の場合は一般的なタイヤチェーンが適合しないモデルが多く、タイヤチェーン規制が改正される前はスタッドレスタイヤに履き替えるしか方法はありませんでした。
近年では欧州車に適合する布製タイヤチェーンも見受けられますが、某大手カー用品店では布製タイヤチェーンをあくまでも緊急用として位置づけており、長距離を走る場合などの耐久性に不安を感じてしまいます。
では一般的なタイヤチェーンが適合しない欧州車に乗っている人はどうすれば良いのでしょうか。
実は、欧州車の全ての車種に適合する訳ではありませんが、多くの車種に適合するタイヤチェーンがあることはご存知でしょうか。
国土交通省によるチェーン規制の改定
以前は、積雪があって「チェーン規制」の表示が出ていた場合でも、スタッドレスタイヤを装着していれば全く問題なく通行することができました。
しかしスタッドレスタイヤを装着しているクルマが大雪で動けなくなるケース(スタッドレスタイヤでも大雪の場合は動けなくなるケースあり)や、命の危険を感じるほど動かない大渋滞が何度も起きたことから、2018年に国土交通省によってチェーン規制の内容が改定されました。
改定内容としては、タイヤチェーン規制の標識を設け、この標識が出された場合にはスタッドレスタイヤを履いていてもタイヤチェーンを装着していない場合は通行できなくなるというものです。
なおこの標識は「タイヤチェーンを取り付けていない車両通行止め」と呼ばれています。
画像引用:国土交通省
また大雪が降った場合にこの標識が出される、つまりチェーン規制が発令される道路や区間は以下のように予め決められており、本記事執筆時点では高速道路で7区間、一般国道では6区間となっています。
ただし、この区間は今後拡大していく予定になっています。
画像引用:国土交通省
つまりこの区間でチェーン規制が出されると、ノーマルタイヤはもちろんですが、オールシーズンタイヤやスタッドレスタイヤを履いていても、チェーンを装着しないと通れないというわけです。
欧州車オーナーの雪対策に関する悩み
欧州車は色々な理由から、以前は適合するタイヤチェーンがなく、スタッドレスタイヤを装着するしか方法はありませんでした。
それでも改正前のチェーン規制であれば、スタッドレスタイヤを装着さえしていれば、規制区間を通行することは可能だったのです。
しかしチェーン規制が改定された2018年以降、上で説明した区間でチェーン規制が出されると、欧州車には対応する術がなかったわけです。
欧州車に適合するタイヤチェーンは少ない
チェーン規制が改正された後、しばらくの間は、欧州車に適合するタイヤチェーンは布製タイヤチェーンしかありませんでした。
しかし今はもう一種類、適合する車種が多いタイヤチェーンがあります。
それが非金属性のタイヤチェーンである「Yeti Snow net(イエティスノーネット)」です。
イエティスノーネットの特徴
イエティスノーネットは、画像を見て分かるように、タイヤを覆うラバーネット形状になっており、トレッド面には超硬スパイクピンが装着されています。
このラバーネット構造によって、走行時の振動が他の非金属タイヤチェーンよりも抑えられるようになっています。
また超硬スパイクピンもトレッド面に多く配置されているため、グリップ性能も非常に高いのが特徴です。
ただし構造的特徴から、脱着時にクルマを少し移動させる必要がありますが、静粛性とグリップ性能を考えるとこの程度の手間は仕方ないのかもしれません。
多くの欧州車に適合
このイエティスノーネットは、金属タイヤチェーンや非金属タイヤチェーンが適合しなかった多くの欧州車に装着することができます。
残念ながら、全ての欧州車に適合する訳ではありませんが、一般的な金属タイヤチェーンや非金属タイヤチェーンが適合していないことを考えると、幅広い欧州車に適合しているといえます。
イエティスノーネットが多くの欧州車に適合している理由は、大きく分けて2つあります。
ひとつは欧州車の、国産車とは異なるタイヤサイズに適合するよう作られているということです。
そしてもうひとつが、比較的厚みが薄いネット形状であるため、クルマとのクリアランスが少なくても干渉しにくいということが挙げられます。
欧州車は国産車と比較してクリアランスが少ない
国産車のほとんどは設計段階でタイヤチェーンを装着してもタイヤとフェンダーやショックアブソーバー、ロアアームなどが接触しないようにクリアランスを持たせてあります。
つまりタイヤチェーンを装着する場合のことを考えて設計されているわけです。
ただし自分でクルマをローダウンさせたり、幅広タイヤを装着している、ホイールのリム幅やオフセットが純正とは異なるなど、改造を施してクリアランスが少なくなっている場合には、イエティスノーネットを装着できないことがあります。
また市販モデルであっても、走りに特化させるためにメーカーでチューニングを施したモデルやRV車などの一部もタイヤチェーンを装着できない場合があります。
一方、欧州車の場合は、設計の段階からタイヤチェーンの装着を考えておらず、走行性能などを優先して設計されていることが多いため、クリアランスが少ないモデルも多いのが実情だといわれています。
この説が正しいかどうかは別にして、国産車と比較すると、欧州車にはノーマル状態でもタイヤとタイヤハウスのクリアランスが少なく、クルマが低く感じられるモデルが多いのも事実です。
愛車のイエティスノーネット適合を調べる
前述したように、イエティスノーネットでも全ての欧州車に適合している訳ではありません。
同じメーカーの同じ車種でも、年式や駆動方式、タイヤサイズが違うなどの場合は適合しないこともあります。
欧州車はタイヤサイズだけでなくマッチングを調べる
国産車の場合はタイヤサイズだけを考慮すればタイヤチェーンが適合するかどうかを判断できますが、欧州車の場合はタイヤサイズだけで適合を判断してはいけません。
上で説明したように、タイヤとフェンダーやショックアブソーバー、ロアアームなどのクリアランスが車種や駆動方式などで変わってくるためです。
もちろん、同じ車種でも型式が変わるとクリアランスも変わってきます。
まずは車種別のマッチングリストで、自分の愛車にイエティスノーネットが適合するかどうか調べてみましょう。
イエティスノーネットのwebsiteで以下のマッチングリストが公開されています。
メーカーボタンをクリックして、ご自分の愛車に適合するかどうかを調べましょう。
画像引用:Yeti Snow net
ローダウンやタイヤを幅広にしている場合
もしご自分の愛車をローダウンしていたり、タイヤ幅を広いものに交換してある場合、このマッチングリストだけでは判断できません。
ローダウンしている場合は、以下の画像を参考にして適合かどうかを判断してください。
またタイヤを幅広のものに交換している場合は、ホイールも純正とは異なるでしょう。
ホイールが純正と違うということはオフセットも違っているはずですから、クリアランスが確保できているかどうかを必ず確認しなければなりません。
なおクリアランスの確認をする際には、イエティスノーネットを前輪に装着するクルマなら直進状態のクリアランスだけでなく、ハンドルを切った状態のクリアランスも確認しておく必要があるので注意しましょう。
画像引用:Yeti Snow net
まとめ
多くの欧州車に適合しているタイヤチェーン、イエティスノーネットについてご説明しました。
欧州車オーナーの方は、降雪地帯に行くのは雪のことを考えて諦めた、もしくは出掛けるのに躊躇してしまったという経験があるはずです。
冬の季節、降雪地帯に遠出をするなら、このイエティスノーネットをトランクに積んでおくだけで安心感は全く違ってきます。
是非参考になさってください。