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メンテナンス

クーラントは量だけでなく色もチェックし、車検時に交換を

クーラントのリザーブタンク

現代のエンジンを搭載しているクルマに必ず装備されているのがラジエターです。

ラジエターにはクーラントと呼ばれる冷却水が入っており、エンジンが発する熱を水で冷却しています。

そのためクーラントの量が減っていないかをチェックすることは、オーバーヒートを防ぐための一般的なチェック項目です。

 

クーラントの今の主流はLLC(ロングライフクーラント)と呼ばれる耐用年数2~3年のものですが、最近はもっと耐用年数が長い7年から10年使用できるスーパーLLCと呼ばれるものが採用されつつあるようです。

 

一般的なLLCの耐用年数が2~3年といっても、2年を過ぎた時点で寿命が突然訪れてしまうこともあり必ず3年間は大丈夫ということではありません。

LLCの劣化によってラジエターやエンジンのトラブルを誘発することもあります。

このことをチェックするにはLLCの色で察知できる場合もあるため、色もチェックしておく必要があります。

 

一度LLCが劣化してしまった場合、いくら全量を交換しようとしても交換しづらいため、車検のタイミングで交換しておくべきといえます。

さらに低年式車ほど全量交換は困難なため、必ず車検のタイミングで交換しておくようにするべきなのです。

 

どうしてLLCが劣化すると変色してしまうのでしょう。

そしてクーラントを全量交換するのが難しい理由とはどういうものなのでしょうか。

 

また私が以前乗っていたクルマも突然LLCが変色してしまいました。

その時の状況も含め、どうして車検のタイミングで交換しておくべきなのかをご説明しましょう。

 

LLCの種類と目的について

LLCには鮮やかな色が付けられており、その色でどういうクーラントなのかが識別できるようになっています。

色の種類としては赤と緑、青、ピンクの4種類がありますが、このうち赤と緑のクーラントは耐用年数が2~3年のLLCです。
そして青とピンクのクーラントが、耐用年数7年から10年のスーパーLLCです。

 

耐用年数の差になっているのが主成分の違いで、LLCはエチレングリコール、スーパーLLCはプロピレングリコールによって作られています。

エチレングリコールでできたLLC

なおクーラントが普通の水でなく、これらの成分が使われているのは以下のような理由があります。

  • 真冬の低温時でも凍結しないようにするため
  • ラジエターやエンジン内部の金属を腐食させないようにするため

 

LLCの色でトラブルを察知できる場合がある

一般的に冷却水のチェックは、レベルゲージのFULLとLOWの間に位置しているかどうかを確認する、つまり量のチェックですが、それだけでは不十分です。

必ずLLCの色もチェックしておく必要があります。

 

LLCには前述したように耐用年数がありますが、劣化してくると凍結防止効果だけでなく、腐食防止効果も衰えてきます。

 

LLCはエンジンの熱を冷却するため、ラジエター内部だけでなく、エンジンの周囲に張り巡らされた通り道を通ってラジエターに戻っていきます。

もしLLCが劣化し、金属の腐食を防ぐ効果が低下してしまった場合には、この通り道のどこかで金属が腐食してしまう可能性があります。

さらに腐食が原因であることを含め、エンジンのどこかでオイルが漏れてきていた場合、そのオイルがLLCの通り道にまで滲んでくるケースもあるのです。

つまりLLCにオイルが混じってしまい、色が変わってくるわけです。

 

金属部分で腐食している個所があると、腐食した部分の色が出てくる可能性があり、エンジンオイルがクーラントに混じると黒っぽい色に変色してしまいます。

 

クーラントの量だけでなく、色もチェックしておくことは、何らかの異変を察知するのに非常に役立つのです。

 

LLCの全量交換やスーパーLLCへのスイッチは難しい

LLCの耐用年数が2、3年であるなら、もっと耐用年数の長いスーパーLLCに交換してしまえばいいし、LLCが劣化してきたら全て交換してしまえば済むことだと考えるでしょう。

 

しかし現在LLCが使われているクルマのクーラントをスーパーLLCへスイッチするのは現実的ではなく、LLCの全てを新しいものに入れ替えることも、場合によっては難しいことを理解しておく必要があります。

濃縮クーラント

それは現在入れられているクーラントを全て抜くことが難しく、LLCが入れられていたクルマにスーパーLLCを入れると、成分の違うクーラントが混じり合ってしまうことになるからです。

LLCとスーパーLLCは成分が異なるだけでなく、洗浄能力の違いから、通り道で詰まりを起こしてしまうことがあるため、元から入っていたクーラントの種類を変えない方が良いのです。

 

クーラントの全量交換はそれほど難しいのです。

前述したように、クーラントはラジエター内だけでなくエンジンの周囲にも入り組んだ通り道がありますが、この入り組んだ通り道の存在が全量交換を難しくしています。

 

古いクーラントを抜く方法にはどのようなものがあるのか、ご説明しましょう。

 

自然落下でクーラントを抜く場合

クルマに入っているクーラントを抜く方法のひとつに、冷却水のドレンボルトを開けて自然落下で抜くという方法があります。

 

しかしこの方法ではエンジン周囲の複雑な通り道にあるクーラントはほとんど抜けず、全量の半分ほどしか抜けません。

 

もし自然落下で古いクーラントを全て抜こうとするなら、半分だけ抜いた状態で水を足し、エンジンをかけて循環させた後にまた抜くを何度もくり返すしかありません。

非常に手間がかかりますし、これでも完全に抜けたかどうかは判断できません。

 

また古いクーラントが全部抜けたと思っていても、クルマを走らせているうちに通り道に残っていたクーラントが出てきてしまう可能性もあります。

 

ちなみにクーラントの成分であるエチレングリコールは有害性があり、危険物にあたるためにそのまま捨てることはできません。

中和することもできないため、産業廃棄物扱いになります。

そのため希釈しているとはいえ、むやみに捨てることができないので、何度も大量に抜く作業をくり返すのは現実的ではないといえます。

 

機械で強制的に抜き取る方法もある

自然落下以外のクーラントの抜き方としては、機械を使って吸い取るって方法があります。

この方法ならエンジン周囲の通り道にとどまっている古いクーラントも抜き取りことができます。

 

強制抜き取り方式にあるデメリット

機械によるクーラント吸引は古いクーラントのほぼ全てを抜き取ることができる方法ですが、実はクルマによってはデメリットも現れてきます。

それが比較的低年式のクルマに用いる場合です。

 

クーラントを吸引して抜き取る場合、どうしても通り道とつながっているゴムホース類などにも負荷がかかってきます。

高年式のクルマならエンジンルームのゴムホース類も新しくて弾力性もあるため、負荷がかかっていびつな形になっても元に戻るでしょうし、問題ありません。

 

しかし低年式のクルマほどゴムホース類などは劣化し、硬くなってしまっているはずです。

このようなクルマに機械で吸引してしまうと、硬くなったゴムホース類が破損してしまう可能性が高くなります。

古いクルマのエンジン部分

破損してしまうと、どこが破損したのか確かめ、パーツを取り寄せ、交換しなければなりません。

交換個所によっては、作業工賃だけでも結構な金額になってしまうかもしれません。

低年式のクルマほどクーラントを機械で吸引して抜き取ることはできないと思っていた方が良いわけです。

 

これはつまり、クルマは低年式になるほどクーラントを全量交換することはほぼ不可能ということと同義なわけです。

 

5年落ちのクルマのクーラントが突然変色

ここで私のクルマのクーラントが突然変色してしまった例を紹介しましょう。

 

私が以前乗っていたクルマには、耐用年数が2年から3年といわれているLLCが入っていました。

初回の車検ではクーラント交換していましたが、2度目の車検を受けた数か月後に別のクルマに乗り換えることが決まっていました。

そのため車検費用を抑える目的もあり、少しの間ぐらいなら大丈夫だろうとクーラントは交換しないで車検を済ませました。

つまり2年と数か月の間、クーラントを交換していなかったということになります。

 

私自身は常々、洗車するタイミング(月に2回程度)でボンネットを開け、ウォッシャー液の補充やクーラントレベルや色のチェック、オイルなどをチェックしており、それまでは何の問題もありませんでした。

 

ある日のことです。

洗車してからボンネットを開けてみると、赤い色だったクーラントが薄いオレンジ色に変色していました。

 

クーラントの色以外は何も不具合がなかったのですが、さすがにビックリして行きつけのファクトリーに行き、クーラントを交換してもらいました。

しかし5年落ちということ、さらにもうすぐ乗り換えという事情から、機械による吸引はおこなわず自然落下で交換することにしました。

もちろん全てのクーラントを入れ替えすることはできません。

交換した後も元の赤い色に戻ることはなく、ややオレンジがかったクーラントになってしまいました。

 

このクーラントの変色が何によるものかは分かりませんが、色からしてオイルの混入ではなく、どこかで腐食が発生している可能性もあるとのことでした。

もしそうだとすると、LLCが2年ほどで劣化し、どこかで腐食を発生させてしまったことになります。

 

LLCは車検ごとに交換したい

私の例でも分かるように、クーラントの劣化は突然発覚します。

もちろん一気に劣化するわけではなく、徐々に劣化していたのがボンネットを開けた日に偶然見つけてしまったということでしょう。

さすがにボンネットを毎日開けてチェックしているわけではありませんので、感覚的には突然変色したように感じます。

 

このことがあってから、今後LLCは必ず車検ごとに交換しようと決めました。

車検時に交換するといっても、全量を交換できるわけではありません。

しかし自然落下方式で、半分程度を交換しただけでもLLCの耐用年数を伸ばす効果はあるはずです。

 

特にクルマが低年式になるほど全量交換は難しくなるため、車検時に必ず交換してあげるようにしましょう。

 

まとめ

クーラントが正常な状態なら、真冬でも凍結することなく快適にクルマを走らせることができます。

またラジエターやエンジンの内部金属を腐食から防いでくれる効果もあります。

 

クーラントは耐用年数が長いためにメンテナンスフリーのように思われ、重視されることも少ないですが、それは定期的に交換するから成しえることです。

 

今後はクーラントの量だけでなく、色にも注意してみてはいかがでしょうか。