雨の日の運転は見通しが悪くなるだけでなく、路面も滑りやすいので運転には注意が必要です。
雨の日の運転には細心の注意が必要なのですが、空気圧が不足したタイヤやワイド化したタイヤは特に雨で滑りやすいことをご存じでしょうか。
どうして滑りやすくなってしまうのか、詳しくご説明しましょう。
タイヤのグリップ力を決める要素とは
空気圧が低下すると、タイヤは必然的にペシャンコになります。
するとタイヤの接地面積が増えることで、転がり抵抗が大きくなり、燃費が悪くなってしまいます。
接地面積が増えるのであれば、タイヤのグリップ力が上がるはずだと考えてしまうでしょう。
しかし実際にはグリップ力は上がっていません。
タイヤのグリップ力は、タイヤのゴムの柔らかさ、そしてタイヤを地面に押し付ける力、すなわち車そのものの重さや荷重のかかり具合によって決まってくるのであり、接地面積は関係ないのです。
空気圧が低下したタイヤが雨で滑りやすい理由
空気圧が低下したペシャンコ状態のタイヤで雨の中を走るとどうなるのでしょうか。
雨が降ると路面に雨はたまりますが、その状態の路面を走ると、タイヤと路面との間に雨水が入り込みやすくなります。
空気圧が正常なタイヤでも路面との間に雨水が入り込みやすいので、雨の日にはスリップしやすく、注意しなければならないといわれるわけです。
雨水がたまった状態の路面をペシャンコに広がったタイヤで走ると、接地面積が広がっているものの、グリップ力が変わらないばかりか、雨水が入り込むエリアが広がっていることになります。
つまり余計スリップしやすい状態になっているといえるのです。
接地面積と雨との関係が分かる例
接地面積と雨との関係を、分かりやすい例で紹介しましょう。
お風呂にお湯を張った状態で、空手チョップの要領でお湯の上から叩いてみましょう。
勢い良く叩いても、あまり抵抗なく手はお湯の中に潜ってしまうはずです。
では今度は手のひら、つまりビンタの要領でお湯の上から勢いよく叩いてみてください。
勢いよく叩くほど手のひらに抵抗が伝わってきて、手がお湯の中に潜りづらいことが分かるでしょう。
空手チョップとお湯が触れる面積は小さく、抵抗なく水をかき分けることができます。
空手チョップの時に感じる抵抗を空気圧が適正状態のタイヤとすると、ビンタは空気圧が低下して接地面積が広がったタイヤと同じだといえるのです。
これは極端な例ではありますが、空気圧が低下して接地面積が広がると、どれほど路面とタイヤの間に雨水を挟み込んでしまうのかが分かるはずです。
ワイド化したタイヤもスリップしやすい
空気圧が低下したタイヤは雨が降るとグリップしにくい、つまりスリップしやすいことがお分かりいただけたでしょう。
実はこの状態は、タイヤをワイドにしたクルマにも起こりうることなのです。
クルマのドレスアップといえばタイヤとホイールをインチアップし、外径をノーマルと合わせるため、より扁平でタイヤ幅も広いものにするのが一般的です。
しかしタイヤの幅を広げるほど、接地面積が広がり、空気圧が低下したタイヤと同じ状態に近づいている場合もあるのです。
場合もあると表現したのは、交換したタイヤがノーマルよりハイグリップで、排水性も高いモデルならそれほど影響しないケースもあるからです。
しかしそのようなタイヤではない場合には、雨でスリップしやすくなっているはずです。
ドレスアップでタイヤをインチアップし、タイヤ幅もワイドにしたら、雨でスリップしやすくなってしまうケースもあるのです。
そして、もしワイドにしたタイヤの空気圧が低下していたとするなら、雨の日にどれほどスリップしやすく危険か、わかるはずです。
空気圧を定期的にチェックするのが重要
タイヤの空気圧が低下していたり、ワイドなタイヤに交換していた場合、雨が降るとスリップしやすくなってしまう理由についてご説明しました。
タイヤの空気圧不足は雨の日にスリップしやすく、非常に危険であることがお分かりいただけたと思います。
ワイドタイヤに交換していた場合、空気圧の低下はより危険になってしまいます。
最低でも月1回はガソリンスタンドで空気圧のチェックをし、適正な空気圧を保つようにしましょう。
タイヤの空気圧チェックは1本あたり1分もかかりません。
4本のタイヤをチェックしても2~3分で終わってしまいます。
わずか月1回、数分の手間が安全につながるのであれば、必ずチェックすべきではないでしょうか。