前回の記事「ボディの飛び石には早めの洗車とタッチアップが重要」では、高速道路を長時間走行した時には早めに洗車して飛び石キズを発見すること、そしてもし飛び石キズがあれば素早く対応しなければいけない理由について説明しました。
加えて、私のクルマに飛び石キズが付いており、自分でも修復中であることもお話ししました。
今回は私自身がおこなった、タッチアップを塗る際に覚えておきたいポイントに絞って説明していましょう。
また次回の記事で、タッチアップ部分の研磨や上手く仕上げるコツなどについて説明させてもらいます。
タッチアップを一刻も早くおこなう理由
前回の記事と重複しますが、大切なことなので改めて書かせていただきます。
ボディに飛び石キズができてしまった時は、一刻も早くタッチアップ塗料を塗って、サビが発生しないようにすることが重要です。
サビが拡がってしまうと、飛び石キズの周囲にある、塗装が健全な状態の場所の下でもサビが進行してしまう可能性があります。
これを防ぐため、ボディの金属が露出した部分をなくすよう、一刻も早くタッチアップを塗る必要があるのです。
後述しますが、タッチアップは1度塗れば終わりではありません。
しかし1度タッチアップしてむき出しになった金属面を塗料で覆ってやりさえすれば、後は慌てることなくゆっくり作業すればいいのです。
サビ防止のために一刻も早くやるべき1回目のタッチアップ
ボディの金属が露出するほどの飛び石キズがあった場合、サビを防ぐために真っ先にやるべき1回目のタッチアップ作業までを詳しくご説明します。
1.洗浄
飛び石によってキズが付いた部分にタッチアップするのに、キズの中にゴミや汚れが付いたままだと、塗料がうまく定着しません。
最悪の場合、タッチアップが剥がれてしまうこともあります。
タッチアップする前には必ずカーシャンプーなどを使ってゴミや汚れを落とすようにしますが、この時は無理にクルマ全体を洗車する必要はありません。
修復個所だけを洗浄できれば良いので、手軽にできるはずです。
2.脱脂
飛び石キズを洗浄してから完全に水分を拭き取った後、露出した金属面の脱脂をおこないます。
この脱脂をしておかないと、タッチアップを塗っても金属部分に塗料がうまく付着せず、ムラになったり、タッチアップした部分が剥がれてしまうこともあります。
必ずシリコンオフを噴霧、つまり脱脂してからタッチアップするようにしましょう。
なおシリコンオフはパーツクリーナーでも代用できますので、私は以前から持っていたパーツクリーナーを使いました。
3.露出した金属面をまず1回タッチアップでカバーする
シリコンオフかパーツクリーナーで脱脂した後、露出した金属面のサビを防ぐため、1回だけでいいのでタッチアップして塗料で覆ってしまいます。
こうすることで錆の発生を防ぐことができますので、ここまでの作業を一刻も早くおこなうようにしましょう。
タッチアップする際は、キズが付いた部分を埋めるようにして塗っていき、なるべく正常な塗装面に塗料がはみ出ないようにします。
タッチアップした部分は、後でコンパウンドを使い、周囲の塗装面と段差をなくしていくのですが、塗料がはみ出てしまうとその部分までコンパウンドで研磨しなくてはなりません。
つまりキズが付いていない、キレイな塗装面まで研磨しなくてはいけないようになるのを防ぐためです。
もちろん、キズが付いた部分から全くはみ出さずにタッチアップすることは不可能ですが、極力キズからはみ出さないように塗ることを心掛けます。
そのためには、キズの大きさに合わせた刷毛などが必要になってきます。
タッチアップ塗料には刷毛が付属していますが、女性のマニュキュアに付属しているような大きさの刷毛が付いているケースも多いです。
もちろん大きなキズなら付属の刷毛を使えば良いのですが、飛び石でできるキズはほとんどの場合、それほど大きなものではありません。
付属している刷毛が大きすぎるのがほとんどなのです。
非常に小さなキズであれば、爪楊枝を使って塗るのも一つの方法です。
しかしキズがその中間程度の大きさだった場合、爪楊枝では小さ過ぎて塗料を埋めていくのは大変です。
爪楊枝よりももう少し大きいものを使った方が楽に塗ることができます。
それが極細のタッチアップペイントブラシです。
タッチアップペイントブラシは先端に小さな綿部分が付いており、この適度な大きさのおかげで飛び石キズのタッチアップに使いやすくなっています。
2回目以降のタッチアップ作業について
1度タッチアップをして、飛び石キズで露出したボディの金属面を塗料で覆ってしまえば、空気に触れることがないのでサビません。
あとはゆっくりと時間を掛けて作業すれば良いのです。
では2回目以降のタッチアップについて、覚えておくべきポイントをご説明します。
盛り上がるように塗っても乾燥すると薄くなる
タッチアップ塗料は乾燥してくるほどに塗装面の形、つまり下地の形に添って薄く、平らになってきます。
すなわち塗った時の形のまま乾燥するのではないということです。
仮に、飛び石キズの跡を埋めるほどタッチアップ塗料を盛ることができたとしても、上記のように乾燥すると薄くなってしまうことを覚えておきましょう。
もちろんタッチアップ塗料を山のように盛り上げた時と、薄く塗った時では、乾燥した時の厚みに多少の差はあるかもしれませんが、それでも1度のタッチアップでキズを埋めることなどできないのです。
乾燥には時間がかかる
タッチアップで塗装した場合、乾燥までに時間がかかります。
乾燥時間は塗った部分の厚みによりますが、表面が乾燥するだけでも3~4時間ほどは必要だと考えておくべきです。
それだけ時間を置いても、内部はまだ乾燥していません。
タッチアップした部分が、内部まで完全に乾燥するには1週間ほどかかるのです。
これはすなわち、タッチアップを厚く塗ってしまうと、乾燥までにもっと時間がかかるということです。
何度も塗り重ねる必要がある
乾燥すると塗料の厚みが薄くなってしまうことを考えると、飛び石キズで塗料が欠けてしまった部分を埋めるためには、1度塗れば終わりではないことが分かるでしょう。
何度も塗り重ねていかなければならないわけです。
そして塗り重ねるためには、前回塗った個所がある程度乾燥して固まらなければなりません。
つまり1度塗ったら、最低でも3~4時間置いてからでなければ塗れないということです。
このサイクルで飛び石キズを埋められる高さまでタッチアップを塗り重ねていくためには、1日では不可能です。
ゆっくり時間を掛けて塗り重ねていけば良いのです。
私の場合、戸建てからマンションに引っ越しをしたので、現在はクルマのガレージまで距離があります。
1日に何度も重ね塗りをすることができなかったので、タッチアップは1日1回のペースでおこなうことにしました。
なお雨の日は作業できませんし、塗り始めから数えて10回以上重ね塗りをしたので、タッチアップ作業が終わるまでにおよそ2週間かかりました。
どこまで重ね塗りをすれば良いのか
タッチアップは、飛び石で塗装が欠けたところを埋めていく作業ですが、実際には埋めた塗装が正常な塗装面より盛り上がるまでタッチアップしていく必要があります。
これはタッチアップした後の作業で、非常に重要なポイントになってきます。
タッチアップした個所が周囲の正常な塗装面よりも飛び出した状態まで塗り重ねるのは、今後この面をコンパウンドなどで研磨し、周囲と高さを合わせるためです。
もし低いままでは、凹んだ状態を修復できません。
そのため、タッチアップ面が周囲より高くなるまで、乾かしては塗るを何度でも重ねていかなくてはならないのです。
私が2週間ほど掛けて10回以上塗り重ねたのは、そのためだったのです。
まとめ
飛び石キズにタッチアップを塗る際の、覚えておきたいポイントについてご説明しました。
ともかく飛び石キズを発見したら、1回目のタッチアップをできるだけ早くおこなってください。
そしてその後はじっくり時間を掛けてやれば問題ありません。
次回はタッチアップ面の研磨についてご説明します。