車を運転する時、いくらボディがキレイであっても、車内が汚れているとあまり快適な気分にはなりません。
一番気になるのが、常に握っているステアリングの汚れです。
特に革巻きステアリングが汚れでベトベトしていたり、革が硬くなっていると、それだけで何だか古めかしい車に感じてしまいます。
革巻きステアリングをキレイに保つにはどうすれば良いのでしょうか。
汚れやすいステアリング
ステアリングは運転中、常に手で握っているものですから、必然的に手の油や汗で汚れてきます。
長距離を運転すると、ステアリングは汚れていると考えて間違いありません。
夏場は特に汗をかくため汚れやすくなります。
またどうしても手が汚れた状態のまま運転せざるを得ない場合もあるでしょう。
ステアリングは運転するほど汚れていくのが普通なのです。
ステアリングの種類
車のステアリングには、大きく分けて三種類あります。
硬質ウレタンステアリング
内装などに使われているのと同じ硬質ウレタンやプラ素材などで作られているものです。
この素材は表面に細かな処理がされているため、手が滑りにくく、耐久性もあります。
また比較的安価に作れるということもあって、多くの車に用いられています。
特に同じ車種の中でもグレードが下のものや商用車に多く採用されています。
ウッドステアリング
高級車に多いのがウッド素材です。
高級車は内装にウッド素材を用いているケースが多く、その場合にはステアリングにもウッドを用いていることが多いようです。
重厚な雰囲気がするため、高級車には良くマッチしますね。
またデザインによってはクラシカルな雰囲気も出せるので、クラシックテイストの車にもマッチします。
有名なのがナルディのウッドステアリングですが、これは私も昔使っていました。
ウッドステアリングは手が滑りやすいのが欠点ではありますが、シンプルで非常に味のあるステアリングです。
革巻きステアリング
もう一つはスポーティな車に多い革巻きステアリングです。
手触りが良く、ねっとりした感じで、汗をかいても滑らないだけでなく、高級感もあります。
部分的にパンチングのような細かい穴が開いている革を用いているものや、パンチング加工されていない革を用いているものもあります。
特に厄介な革巻きステアリングの掃除・メンテナンス
どのような素材でできているステアリングでも、汚れていることには変わりありませんので、定期的に掃除・メンテナンスしてやれば気持ち良く運転できます。
硬質ウレタン製のステアリングは、時々濡れタオルで拭いてやればそれで汚れも取れるはずです。
メンテナンスが楽なため商用車にも多く用いられているのでしょう。
ウッドステアリングも手入れは簡単です。
ウッド素材の表面に塗装が施されているので、硬く絞った濡れタオルで拭いてやればいいでしょう。
問題は革巻きステアリングです。
手触りやねっとり感は良いものの、汚れが革の縫い目のシワ部分に入り込んだり、パンチングされている穴の部分に入り込んでしまいます。
また長く使っていると革自体に汚れが溜まっていくだけでなく、革が硬くなってきてツルツルテカテカになってきます。
こうなると手が滑るだけでなく、車そのものが古臭いものに思えてしまいます。
革巻きステアリングのメンテナンス
革巻きステアリングの手入れについて、正しい方法があるのかどうかは分かりませんが、私が実践し続けている方法についてご説明します。
私は長年この方法で色々な車の革巻きステアリングをメンテナンスしていますが、どの車でもほぼ新車の時と変わらない状態を維持できていました。
もちろん革素材ですので、爪が当たったり、何かをぶつけてしまったりすると傷が付いてしまいますが、それ以外はほとんど新車の時と同様の状態です。
その方法をご説明しようと思います。
革巻きステアリングの手入れには、順序があります。
大きく区分すると、まず汚れを落とすこと、そしてその次が革を保護することです。
汚れ落とし
革素材ですので、基本的に洗剤などは使いません。
濡れタオルを硬く絞って、軽く拭いてやります。
拭く時にあまりゴシゴシ拭いてしまうと、革の表面を傷つけてしまうので注意してください。
あくまでも軽く撫でるように拭き取るのがポイントです。
定期的にメンテナンスしていると、ゴシゴシ拭かなくても十分汚れは取れるはずです。
また革の縫い目部分やパンチングの部分にも汚れが溜まっているはずですので、湿らせたブラシで軽く擦って汚れを搔き出してやります。
ブラシは天然毛の歯ブラシを使うと革の表面を傷つけません。
写真の歯ブラシは、馬の毛と山羊の毛を混合したもので、非常に柔らかいタイプのものです。
どんなドラッグストアでも売られているはずですし、これなら革の表面を傷つけることもありません。
画像引用:Amazon
歯ブラシで汚れを搔き出してから、再度硬く絞った濡れタオルで汚れを拭き取りましょう。
長い間ステアリングを掃除していない場合、拭き取った濡れタオルが汚れていることが分かります。
下の写真は、私の車のステアリングを拭いた際のタオルです。
タオルが汚れているのが分かるでしょうか。
まだ比較的新しく、真っ白なタオルを使用しましたので、汚れ落ち具合が分かると思います。
この写真を撮る2週間程前にステアリングを掃除していたにもかかわらず、こんなに汚れているわけです。
頑固な汚れがある場合
もし頑固な汚れが付いていた場合には、硬く絞った濡れタオルを少しだけ電子レンジで温めてから拭いてみてください。
つまり温かいオシボリで汚れを柔らかくして拭き取るって感じでしょうか。
これで頑固な汚れも取れるはずです。
万が一、これでも取れない汚れの場合は中性洗剤を使うこともできますが、その場合にはほとんど水と変わらないんじゃないのって程に希釈して、タオルを濡らし、硬く絞ってから拭くという方法もあります。
洗剤を使って汚れを取ったら、もう一度水だけで濡らしたタオルを硬く絞り、洗剤成分を完全に拭き取るようにしましょう。
乾燥
拭き取るタオルを硬く絞っていても、革に水分が浸透してしまいます。
この状態で革を保護するためにオイルなどを塗りつけてしまうと、革に染み込んだ水分が抜けません。
必ず革に浸透してしまった水分が抜けるまで乾燥させます。
車の窓を全開にする、ドアを開けっぱなしにするなどの方法で風を通せば早く乾燥します。
また陰干し状態で乾かさないと、革が痛んでしまいます。
そのためステアリングに直射日光が当たるような位置に駐車して乾燥させるのは避けるようにしましょう。
手で触ってみると湿っているかどうか分かりますので、十分乾燥してから保護の作業に入ります。
保護
一般的に革製品を保護する場合には油脂成分を用います。
革靴や革のジャンバー、コートなどの手入れでは、抜けてしまった油脂を補給してやるのがメンテナンスの基本です。
これは革に栄養を与えることで革本来の質感に戻してやるのですが、ステアリングにミンクオイルなどの油脂成分を塗付すると、革の保護にはなるかもしれませんが、ヌルヌルした感触で、気持ち悪くて運転できません。
ヌルヌルベトベトしないで、しかも革の保護ができるようなものでなければなりません。
クルマに用いられている革というと、革シートがあります。
革シート用のメンテナンスケミカルは幾つかありますが、面積が大きく目立つ革シートなら気合いを入れてメンテナンスしたり、高価なケミカル剤を購入するもの理解できます。
しかし自分の車が革シートでもないにもかかわらず、革巻きステアリングのように小さな面積の革部分をケアするために、わざわざ量の多いケミカル剤を購入するのもためらわれてしまいます。
なるべく安価で手軽に出来るものがいいですよね。
幾つか方法がありますが、私が実践している二つの方法をご紹介しましょう。
革シート用ウェットシートを使ったメンテナンス
革シートの汚れを取り、保護艶出しもできる革シート用ウェットシートを革巻きステアリングに活用する方法です。
この革シート用ウェットシートにはシリコンとミンクオイルが配合されています。
ステアリングの革を拭いてから乾燥させるとミンクオイルが配合されているにもかかわらず、ベタつきは全くありません。
それどころか滑りやすいほどです。
これはおそらくシリコン成分が配合されているためでしょうが、シリコン成分はちょっと運転しているとすぐに取れてしまい、革のしっとり感が出てきます。
もし滑り具合が気になるようであれば、ウェットシートで拭いた後、十分に乾燥させてからタオルなどで乾拭きをすれば滑りは気にならなくなります。
つまりオイル成分だけを革に浸透させ、余分なシリコン成分だけを拭き取ってやるということです。
こうすることで、革には軽くミンクオイルが浸透し、ねっとりした革の質感が蘇ります。
またステアリングだけでなく、合皮のシフトブーツ部分もこれで汚れを拭き取っています。
私が使っている革シート用ウェットシートはオートバックスのPB商品ですが、これでなくてはならない訳ではありません。
探してみれば、他のメーカーでも同様の商品があるでしょう。
非常に手軽に革巻きステアリングのメンテナンスができるので、重宝しています。
ベビーローションを使ったメンテナンス
これは一部の間では知られた方法で、ベビーローションを塗るって方法です。
あまり頻繁には用いていませんが、中古車を購入した時、ステアリングの革にしっとり感がなかったり、テカテカになり始めていた場合に用いています。
知られている方法なので、簡単にご説明しましょう。
ベビーローションにはグリセリンやオイルが配合されているため、革巻きステアリングの保湿にもぴったりです。
しかも塗付してしばらくすると乾いてくるため、ミンクオイル単体などのようにいつまでもベトベトすることはありません。
ベビーオイルではこうはいきませんので、くれぐれもベビーローションを使ってください。
また塗付する前には、濡れタオルを硬く絞ったもので必ず汚れを落としておくようにしましょう。
ベビーローションは革の部分、全体にしっかりと塗り付けます。
塗り付けると真っ白になってしまいますが、時間と共に乾いてきますので安心してください。
残っているベビーローションをタオルなどでキレイに拭き取れば完了です。
もし長く手入れしていない革巻きステアリングであれば、一晩置くってこともありですし、何度か塗付を繰り返すってこともアリでしょう。
ステアリングにパンチングされた革が使われている場合は、前述の天然毛歯ブラシでベビーローションを搔き出しながらタオルで拭くという方法もありますが、ベビーローションは放置しておくと乾燥していきますので、無理に歯ブラシを使う必要もありません。
※ベビーローションを使う際の注意点
この方法は、私が中古車を購入した際、何度もやっている方法です。
今までこの方法で革素材を痛めたことはありませんが、念のため、目立たない部分でテストしてから使ってみてください。
キレイなステアリングでの運転は楽しい
ステアリングは常に手が触れている部分ですので、どうしても汚れてきます。
特に革巻きステアリングは手触りが良いものの、定期的なメンテナンスをしなければ痛んできてしまい、本来の質感を保てなくなってしまいます。
手触りの良いステアリングでのドライブは、気持ちまで楽しくしてくれるはずです。
是非定期的にメンテナンスされることをお勧めします。