汚れてしまった愛車をキレイにするには洗車するしか方法はありません。
洗車に際しては、ほとんどの方がクルマのボディにキズを付けないよう細かな配慮をしているはずですし、洗車後に水滴を拭き取るときにもキズが付かないように優しく拭き取っているはずです。
さらに以前の記事「【洗車のコツ】洗車してはいけない日があることをご存知ですか?」内でもご説明したように、直射日光が強く当たる日や風の強い日には洗車をしないようにしている方も多いと思います。
しかし、いくら日差しが弱く、風が強くなくても、洗車後のボディやガラス面に付いている水滴の拭き取るには順番があることはご存じでしょうか。
そして、この拭き取りの順番を誤っていると、イオンデポジットがボディやガラス面についてしまうこともあるのです。
どうして水滴の拭き取りに順番が必要なのか、どのような順番で拭き取れば良いのかなどについてご説明しましょう。
洗車はほとんどの場合が水道水を使用
クルマを洗車する場合には、自宅やコイン洗車場、ガソリンスタンドの洗車機などで洗車することがほとんどです。
これらの洗車方法では、全て水道水を使って洗車しているはずですが、水道水にはカルシウムやマグネシウムなどのミネラル成分が含まれており、この水滴がボディなどに付いたまま乾燥してしまうと、イオンデポジットと呼ばれるシミになってしまいます。
一方、雨水や「純水」などと呼ばれる精製水には、カルシウムやマグネシウムなどがほとんど含まれていません。
洗車用として、水道水をろ過してミネラル成分を取り除く機器も販売されていますが、決して安い金額ではありませんし、自宅に水道設備が整ったガレージが無ければ設置することもできません。
つまり多くの人が水道水を使って洗車しているわけであり、その水滴がボディに付いたまま乾燥してしまうとイオンデポジットができてしまうということになります。
なおガソリンスタンドの洗車機を使い、乾燥(エアブロー)工程を経たとしても、全ての水滴を完全に飛ばすことはできません。
細部やすき間に残った水滴がそのまま乾燥したり、ボディに垂れてきて乾燥することもあるでしょう。
するとやはりイオンデポジットができてしまいます。
水道水を使った洗車の場合には、ボディに付いた水滴を乾燥させないうちに、いかに早く拭き取るかが大事だということになります。
乾燥しないうちに拭き取ることが重要
ではボディに付いた水滴を、乾燥してしまわないうちに拭き取るのにはどのようなことを心掛ければ良いのでしょうか。
それは、乾燥しやすい個所から順に、素早く拭き取っていくということです。
ただし、乾燥しやすい個所は状況によって変わってきます。
強いとはいえないまでも、ある程度の日差しがあれば、陽が当たっている個所が最も早く乾燥していくでしょう。
また曇っているけれども、ある程度の風があれば、風が当たる個所の乾燥は早いはずです。
気候条件が完ぺきに洗車向きの日は少ない
冒頭でも説明しましたが、洗車に向いている日としては「日差しが強すぎない日」と「風が強すぎない日」が挙げられます。
しかし曇った日に洗車していたとしても、時折雲が切れてしまい、太陽が顔を出すこともあるでしょう。
風が弱い日の洗車といっても、完全に無風な日はほとんどありません。
もちろんカンカン照りの日や強風のタイミングで洗車するのは問題外ですが、極力日差しが弱く、風が弱い日に洗車するしかありません。
つまり洗車するのに、完ぺきに気候的条件が整った日というのはほとんどないということであり、何らかの対策を講じる必要があるわけです。
具体的な拭き取り順序の考え方
それでは日差しがある程度ある場合や、多少でも風がある場合には、どのような順番で水滴を拭き取っていけば良いのでしょうか。
強くはないものの日差しがある場合
例えばあまり強くない日差しであったとしても、ある程度の日差しがあれば、ボディに付着した水滴は陽の当たる個所が早く乾燥していきます。
一方、日陰になる個所は、それよりも乾燥は遅くなります。
上の画像のように太陽の位置が斜め上にあった場合、クルマの上部にあたるルーフ部分やフロントガラス、ボンネットなどはもちろんですが、クルマの左側のウインドウやフェンダー、ドアアパネルなども早く乾燥していくことになります。
このケースでは、クルマの上部や左側を最初に拭き取っていかなければなりません。
曇っているが多少の風がある場合
では曇ってはいるものの、弱い風が吹いている場合はどうでしょう。
この場合も風によってボディに付着した水滴が乾燥していくため、風をまともに受ける面だけでなく、風が流れていく面も早く乾燥することになります。
上の画像のように、クルマの左側から風が吹いている場合には、クルマの左側のウインドウやフェンダー、ドアアパネルなどが風を正面から受けることになります。
またクルマ上部のルーフ部分やフロントガラス、ボンネットも表面を風が流れていくため、早く乾燥していきます。
一方、クルマの右側は風裏になるため、左側と比較すると乾燥しにくいといえます。
つまりこのケースでは、クルマの上部から左側を最初に拭き取っていくべきだということになります。
ケースバイケースで臨機応変に
上で紹介したふたつの例はあくまでも分かりやすい例です。
洗車後の拭き取り場所の向きはそれぞれ異なるでしょうから、太陽が必ず横方向にあるとは限りません。
クルマの後部側や前側から照っていることもあるでしょう。
また風がある場合でも、どちら側から風が吹いてくるかは季節によって偏りがあるでしょうし、一日中同じ方向から風が吹くとは限りません。
拭き取り場所の周囲にある建造物によって風が回ってくることもあるはずです。
すなわち拭き取り場所と自然環境を考えながら、「最も早く乾燥する個所から順に」拭き取りを始め、なるべく「素早く拭き取る」ことが重要だということです。
まとめ
水道水を使った洗車でイオンデポジットができることを完全に防ぐには、洗車後の拭き取りの順番を考える必要があることについてご説明しました。
イオンデポジットを完全にできなくなるようにするのは難しいですが、少しでもできにくくすることは可能です。
長く愛車をキレイに保ちたいためにおこなっている洗車で、イオンデポジットを作ってしまうのはカーオーナーにとっては本末転倒でしょう。
ちょっとした工夫で効果があるのですから、是非次回の洗車から取り組んでみてください。